栄養価が高く、見た目も鮮やかなトマトは、犬に食べさせられる食材です。
食べることで夏の水分補給や便秘改善、皮膚改善などの効果が期待できます。
しかし、与え方によっては体調を崩してしまうおそれもあるため、いくつか注意が必要です。
この記事では、トマトの与え方や含まれる栄養素とともに、与える際に注意すべきポイントについて解説します。
筆者の赤おにです。
犬(主にフレンチブルドッグ)の役立つ情報を発信しています。
- 『フレンチブルドッグの秘密の世界』 運営者
- ペット栄養管理士
- 愛玩動物飼養管理士2級
- 犬の飼育経験10年
- フレンチブルドックを飼育中
犬にトマトを食べさせても大丈夫!与え方は?
一般的に、トマトは犬に食べさせても安心の食材です。
水分を多く含み、便秘対策や健康維持など、犬の体に多くのメリットがあります。
とはいえ、トマトの与え過ぎは下痢など消化器症状を引き起こす原因になりかねません。
トマトはおやつやトッピングとして、適量を食べさせるようにしましょう。
生でも加熱でも問題なし
犬に食べさせる場合、トマトは生でも問題ありませんが、トマトの栄養をより引き出すなら加熱がおすすめです。
皮や種は消化不良を起こしやすいため、与える前になるべく取り除いておきましょう。
皮は、トマトのお尻の部分に軽く切れ込みを入れて加熱し、水につけながら皮を剥がすと綺麗に剥けます。
また、ミニトマトの場合、そのままの大きさで与えると喉に詰まらせてしまう可能性があるため危険です。
細かくカットして、丸飲みさせないようにしましょう。
犬種別|与えてもいいトマトの目安量
トマトを与える場合は、1日あたりの摂取量を守りましょう。
一般的に、おやつとして与える場合は、一日に必要なカロリーの10%ほどの量が推奨されています。
トマトは100gで約20kcalです。
体重5kgの去勢済みの犬なら、計算上では中玉サイズ(1個175g程度)のトマトを1個、ミニトマト(1個15g程度)を7〜8個食べさせられます。
ただ、トマトは9割以上が水分であり、与えすぎると下痢や腹痛の原因になったり、トマトでお腹いっぱいになったりしかねません。
そのため、以下の量を目安にすることをおすすめします。
- 小型犬‥‥中玉トマトの約½個
- 中型犬‥‥中玉トマトを約1個
- 大型犬‥‥中玉トマトを約1 〜1.5個
犬の体調や年齢によって必要な量が変動するため、犬の様子や便の状態を確認しながら食べさせるようにしてください。
トマトに含まれる主な栄養素
トマトは栄養成分が豊富で、健康を維持したい犬にぜひ食べさせてあげたい食材です。
では具体的にどのような栄養素が摂取できるのでしょうか?
ここからは、トマトに含まれる主な栄養素について解説します。
リコピン
トマトには、リコピンが豊富に含まれています。
- 悪玉コレステロールの酸化防止
- 血流の改善
リコピンは強力な抗酸化作用をもつ栄養素で、細胞の劣化を防ぎ、免疫力を維持するなどの効果があります。
また、血液をサラサラにする効果があります。
そのため動脈硬化や心筋梗塞予防も期待されており、犬の健康維持に役立ちます。
βカロテン
トマトには、βカロテンも含まれています。
- 血中コレステロールの酸化防止
- 免疫力の向上
- 健康な被毛や視力の維持
βカロテンは、リコピンと同じく抗酸化作用をもち、必要な分だけ体内でビタミンAに変換される栄養素です。
プロビタミンAとも呼ばれ、皮膚や被毛、粘膜などを健康に保つため、喉や鼻などの健康維持に役立ちます。
さらに、βカロテンがもつ抗酸化物質で、がんや心臓病の予防にも効果があるといわれています。
カリウム
トマトを食べることで、カリウムも摂取できます。
- 血圧の安定化
- エネルギー代謝
- 心機能や筋肉機能の調整
カリウムはミネラル成分の1つです。
体内の余分な塩分を尿とともに排出する作用があるため、血圧を安定させる効果が期待できます。
また、全身の細胞が正常に働くために欠かせない栄養素でもあり、筋肉の動きを正常に保つ役割もあります。
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犬にトマトを食べさせるときの注意点
犬にとってメリットの多いトマトですが、食べさせ方にはいくつか注意が必要です。
犬の体に負担をかけないよう、食べさせるときは以下の4点に注意しましょう。
完熟したトマト以外は与えない
犬には、完熟したトマトのみを与えてください。
完熟前の青いトマトには、「トマチン」という有毒成分が多く含まれています。
そのため大量に食べると下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があります。
トマトの果実が赤く熟していくほどトマチンが減るため、食べさせるときには真っ赤な完熟したものを選びましょう。
ヘタや葉、茎は取り除く
有害物質(トマチン)は、未熟な青トマト以外に、トマトのヘタ・葉・茎・花にも含まれています。
たとえ少量であっても、口にすれば体に悪影響を及ぼすおそれがあるため、必ず取り除いてください。
犬がトマトの茎や葉などで遊んでしまわないように注意が必要です。
プランターや花壇でトマトを栽培している場合は、なるべく犬を近づかせないようにしましょう。
食物アレルギーに注意する
犬に初めてトマトを食べさせるときは、食物アレルギーにも注意が必要です。
トマトにアレルギーがある場合、食べてから全身に強い痒みや赤みなどの皮膚症状が生じます。
また、スギやブタクサなどのアレルギーのある犬は、交差反応によってトマトにもアレルギー反応を起こす場合があるため注意してください。
実際、スギ花粉症を持った犬がトマトを食べたことで、口腔アレルギー症候群を発症した例もあります。
万が一症状が出てしまってもすぐに対処できるよう、初めは少量から、動物病院の空いている午前中に与えましょう。
腎臓に不安がある犬には控える
腎臓に不安がある犬には、トマトを控えるようにしましょう。
トマトにはカリウムが多く含まれています。
そのため腎臓の機能が低下している犬が食べると、正常にカリウムを排出できずに高カリウム血症を引き起こすおそれがあります。
またカリウムの過剰摂取は、心臓に影響を及ぼすこともあります。
症状が悪化するリスクもあるため、普段から療法食を食べている場合は、必ず獣医師に相談してから与えるようにしましょう。
犬がトマトのヘタや葉などを誤飲した場合の対処法
犬がトマトのヘタや葉、茎や花を誤飲した場合、食べた量によっては以下のような中毒症状がみられます。
- 下痢
- 嘔吐
- めまいやふらつき
症状が重度の場合、けいれんや呼吸困難などを引き起こすこともあります。
こうした症状がみられた場合は、速やかにかかりつけの動物病院を受診してください。
このとき、食べた量や症状が起きた時間などをメモしておくと診察に役立ちます。
緊急時に落ち着いて対処できるよう、日ごろから緊急に対応している動物病院を調べておくと良いでしょう。
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まとめ
トマトは栄養価が高く、健康面からもぜひ犬に食べさせたい野菜の1つです。
しかし、いくら栄養豊富といっても、食べ過ぎは体に悪影響を及ぼすおそれもあるため注意が必要です。
また、必ず完熟したトマトを選び、ヘタや茎などを取り除いてから与えてください。
栄養満点のトマトをうまく使いこなして、愛犬との楽しい日々を一緒に過ごしていきましょう。