犬と暮らしていると、ポタポタとよだれをたらす姿は珍しくありません。
よだれが出ることは正常な体の働きですが、その量が異常に多いと不安になりますよね。
今回は、「犬がよだれをたらす理由」「病気の可能性」「すぐに実践できる対処法」をご紹介します。
危険信号を察知することで、大切な愛犬を守るヒントになれば幸いです。
筆者の赤おにです。
犬(主にフレンチブルドッグ)の役立つ情報を発信しています。
- 『フレンチブルドッグの秘密の世界』 運営者
- ペット栄養管理士
- 愛玩動物飼養管理士2級
- 犬の飼育経験10年
- フレンチブルドックを飼育中
犬がポタポタとよだれをたらす理由
犬がよだれをたらす理由は、大きく分けて5つあります。
順番に見ていきましょう。
①生理現象によるもの
犬の嗅覚は人間の3000倍から10000倍と言われていて、多くの匂いを感知します。
食べ物の匂いには特に敏感なので、美味しそうなおやつやごはんの匂いでよだれがポタポタと落ちるのは正常な反応です。
たとえば、犬に「待て」の指示をするとよだれが一気に増える場合がありますが、これは健康な証拠なので、特に問題はありません。
②興奮状態によるもの
お客さんが遊びに来たとき、ドッグランなど普段と異なる場所に行ったときなど、大量のよだれをたらすことがあります。
このとき犬は興奮状態に陥っていて、激しく吠えるなど威嚇することもあるでしょう。
この場合、まずは飼い主が慌てず冷静になることが大切です。
対象の犬から離れたり、自分の体で犬の視界を遮ったりして、落ち着くのを待ちましょう。
③車酔いによるもの
車に乗り慣れていないと、普段と異なる状況に不安を感じて車酔いを引き起こすことがあります。
また、車の揺れで気持ち悪くなったり、芳香剤やガソリンのニオイが刺激になるケースもあり、様々な変化に気を配らなければいけません。
もしもポタポタとよだれが止まらない症状の他に、鼻水が出たり、体が震えたりした場合は非常に危険です。
車を止めて、外の空気を吸わせるなど休憩をとりましょう。
④ストレスによるもの
犬は聴覚にも優れているので、雷や強風の音で怯えることがあります。
また、いつもいるはずの家族がいないなど、異なる環境ではストレスを感じて、よだれの量が増えてしまいます。
これは交感神経系が優位になることが原因です。
ストレスから解放させるには、お気に入りのおもちゃや大好きなおやつで気を引いてみましょう。
リラックスできる状況をつくり、安心させることが大切です。
⑤病気の可能性によるもの
上記に当てはまらない場合は病気の可能性が考えられます。
他に症状がないか、下記のチェックリストを確認してみましょう。
- 食事を拒否している
- よだれの匂いが臭かったり、気泡が多めに含まれている
- 嘔吐をしている
- 呼吸が速かったり、上を向いて呼吸している
- 口角が下がっていたり、左右で位置が違っている
- お腹がふくれている
「ポタポタと落ちるよだれが病気につながるなんて・・・」
と思うかもしれませんが、それは愛犬からのSOSかもしれません。
愛犬のSOSを見逃さないために、よだれが引き起こす病気を詳しく見ていきましょう。
犬のよだれに関連する病気とは
今回は代表的なものを6つご紹介します。
原因を知ることで、危険を回避できる可能性もあるので参考にしてみてください。
- 熱中症
- 口腔内トラブル
- 歯周病、歯肉炎
- てんかん・脳腫瘍
- 胃拡張、胃捻転
- 咽頭炎
それでは、詳しく解説します。
熱中症
気温や湿度が高いときに気をつけたいのが熱中症です。
パグ、ボストンテリア、ブルドッグなどの鼻の短い短頭種は熱い外気を取り込みやすいので、発症率が高いと言われています。
嘔吐や下痢、ふらつきがあると重症のサインです。
体の冷却や水を飲ませる応急処置をした後、動物病院に連絡しましょう。
口腔内トラブル
口内炎や舌炎、口腔内腫瘍など口腔内に関する病気はたくさんあります。
たとえば、悪性の口腔内腫瘍であるメラノーマは痛みによって口を閉じづらくなり、よだれが多くなりがちです。
自然治癒はしないため、手術や放射線治療などが必要になります。
命に関わる可能性が高いため、疑いがある場合はすぐに受診しましょう。
歯周病、歯肉炎
よだれに血が混じっている、歯茎が赤く腫れている、口の周りを触られるのを嫌がる場合は、歯周病や歯肉炎が考えられます。
発症すると、歯が抜けてしまったり、臓器に影響を及ぼしたり、下顎の骨折が起こることもあります。
進行した歯周病は治すことができません。
これ以上悪化させないために、早期に受診して治療することが大切です。
てんかん・脳腫瘍
てんかん、脳腫瘍は、けいれんや体全体の硬直、手足を動かして落ち着かないなどの兆候があります。
まずは、犬の周りをクッションで囲うなどして、ぶつかって怪我をしないようにしましょう。
また、脳への過度な刺激にならないように、大声で呼びかけたり、体を触ることは控えてください。
次の発作を誘発する恐れがあります。
胃拡張、胃捻転
胃がパンパンに膨らむことを胃拡張、その後に胃がねじれてしまう状態を胃捻転と言います。
フードを一気に食べたり、食後すぐに運動すると起きやすい病気です。
落ち着きなく歩き回ったり、吐きたくても吐けない様子が見られると要注意です。
ごはんの与え方、運動のタイミングをきちんとコントロールしましょう。
咽頭炎
咽頭炎は食道や気管の入り口に炎症を起こす病気です。
原因の多くは感染症と言われていますが、食べ物や異物を飲み込むときに咽頭が傷ついたり、刺激物を吸い込んだりすると起きる可能性もあります。
よだれ以外の症状として、リンパの腫れ、呼吸困難なども見られます。
犬がよだれをたらす際の対処法
ご家庭で実践できる、犬がよだれをたらす際の対処法をご紹介します。
それでは、詳しく解説します。
よだれやけを防ぐ
口まわりが湿ることで、被毛が茶色に変色する状態をよだれやけと言います。
口腔内にたまった細菌を排除するためによだれが増えることが原因で、匂いが発生することもあります。
口内環境の悪化を防ぐためには、食器やおもちゃを清潔に保つことが大切です。
また、口元をきれいな布で拭くなど、こまめなケアも行いましょう。
口腔ケアを習慣化する
人間が歯を磨くように犬にも口腔ケアは必要です。
歯磨きを習慣づければ、愛犬の口腔内に異常がないか発見しやすくなります。
嫌がる犬には遊びながらケアできるデンタルトイ、ご褒美感覚で楽しめる歯磨きガムもおすすめです。
定期健診も活用して、気になる点は積極的に相談しましょう。
誤飲を防ぐ
玉ねぎ、ぶどうなど中毒症状を引き起こす食材を食べたとき、おもちゃを飲み込んだときなど、誤飲が原因でよだれが止まらないことがあります。
これは危険因子を遠ざければ防げる事故です。
部屋を片づけたり、飲み込む危険性のあるものは犬の届かない場所に置いたり、住環境を整えておきましょう。
暑いときは散歩は避ける
全身を毛で覆っている犬は基本的に暑がりです。
近年は異常気象の影響で猛暑日が増えて、犬にとっては厳しい環境が続いています。
散歩に行くときは日差しが強い時間帯を避けて、熱中症にならないように気をつけましょう。
また、水を持参して、こまめに水分補給をしてください。
まとめ
本記事では、以下の「犬がよだれをたらす理由」を解説しました。
ポタポタとたれるよだれが健康の判断基準になります。
もちろん、犬種による差もありますが、まずは平常時の愛犬のよだれの量を知ることが大切です。
「いつもの状態」を把握することで、急な違和感にも気づきやすくなります。
大切な家族である愛犬が健やかに暮らせるように、日頃から観察してみてくださいね。